視野異常の起こるメカニズム

カメラのフイルムにあたる網膜には、一面に視神経がはりめぐらされています。それらが太い1本の束となって脳に向かうところを、視神経乳頭といいます。緑内障は、この視神経乳頭が眼球内部から押しつぶされ、正常に機能する視神経が減少する病気です。
一度失われた視神経は、二度と元に戻らず、病気の進行とともに、見える範囲が徐々に狭くなって、最悪の場合、光を失うことになります。

房水と眼圧

目の中には血液のかわりに栄養などを運ぶ、房水とよばれる液体が流れています。房水は毛様体でつくられ、シュレム管から排出されます。眼球は、この房水の圧力によって保たれていて、これを眼圧といいます。眼圧は時間や季節によって多少変動しますが、ほぼ一定の値を保ち、眼圧の正常値は10~21mmHgで、21mmHg以上を高眼圧といいます。
これは、眼球内の房水の流れが妨げられて起こります。

目の水平断面図(各部の名称と防水の流れ)

緑内障のタイプ

緑内障にはいくつかのタイプがあります。そのタイプに分けて診断され、治療方法の選択にも関係します。

1.原発開放隅角緑内障

房水の流出口「隅角」は十分広いが、その排水部分(線維柱帯)が目詰まりし、眼圧が上昇します。多くは40歳以上で発病し、高齢になるほど多く発症します。ゆっくりと病気が進行するため、途中までまったく自覚症状がありません。

2.正常眼圧緑内障

原発開放隅角緑内障の一つで眼圧が正常範囲にも関わらず、視神経が障害されます。日本人の6割近くを占めています。視神経の循環障害などが原因と考えられています。

3.原発閉塞隅角緑内障

隅角が狭くなり、房水の流出抵抗が高くなって眼圧が上昇します。40歳上の女性に多く(男性の3~4倍)、遠視気味の人がなりやすいです。開放隅角緑内障より眼圧は高くなりやすく、緑内障発作が起こることもあります。
緑内障発作…隅角と虹彩が癒着して、房水の流れが全く途絶えたときに起こり、眼圧が急激に上昇します。頭痛や眼痛、視力低下、吐き気など、多くの自覚症状が現れます。すぐに処置を要します。

4.先天緑内障(発達緑内障)

生まれつき隅角が未発達であることからおこる緑内障です。

5.続発緑内障

外傷、角膜の病気、網膜剥離、糖尿病網膜症、目の炎症など、他の目の疾患による眼圧上昇や、ステロイドホルモン剤などの薬剤の長期使用による眼圧上昇によっておこります。