網膜剥離(もうまくはくり)とは?

何らかの原因で神経網膜が網膜上皮細胞からはがれて、硝子体の中に浮き上がってしまう状態が網膜剥離です。

網膜裂孔 剥離した網膜
網膜がひっぱられて裂け目(網膜裂孔)ができる 裂け目から水(液化した硝子体)が入り込み、
網膜がはがれてしまう

裂孔原性〈れっこうげんせい〉網膜剥離

裂孔原性〈れっこうげんせい〉網膜剥離は、網膜剥離のうち最も代表的なタイプです。網膜の一部に裂孔(裂け目)ができ、そこから網膜の裏側に眼球内の水分が流れ込んで剥離する状態です。
網膜剥離が生じると、対応する視野が欠けます。剥離が網膜の上のほうに起こると下方の視野が欠け、下方の網膜が剥離すると上方の視野が欠損します。そして剥離部分が黄斑(眼底中央にある視力を司っている部分)に及ぶと、視力が低下します。

その他の網膜剥離

牽引性〈けんいんせい〉網膜剥離

糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症などでは、網膜から硝子体に向かって新生血管が伸びて、網膜上に増殖膜〈ぞうしょくまく〉を作ることがあります。硝子体の収縮でこの増殖膜を介して網膜が牽引されると、裂孔がなくても網膜剥離が発生します。

滲出性〈しんしゅつせい〉網膜剥離

眼底の炎症や腫瘍〈しゅよう〉、腎臓病や妊娠中毒症なども、網膜剥離の原因となります。

網膜剥離の症状

  1. 飛蚊症…黒い点やゴミのようなものが見える
  2. 光視症…目の中でピカッと光って見える
  3. 視野欠損…見えているものの一部が見えない
  4. 視力低下…見たいものがはっきり見えない

網膜剥離の検査

検査を受けて早期に発見しましょう。

眼底検査

最も大切な検査は眼底検査で、点眼薬で瞳孔を開き、眼底の様子を調べる検査です。

視野検査

見えない部分の位置を調べる検査です。見えない部分と、病変の部分は対応しています。

網膜剥離の治療

網膜剥離を治すには手術が必要です。

手術には次のようなものがあり、症状や剥離の進行状態によって、どの手術を行うかが決まります。

網膜剥離の進行状態 手術の種類 手術の内容
網膜に裂け目ができる 光凝固術 裂け目の周囲をレーザー光でふさぐ
液化した硝子体が裂け目に入り込み、網膜がはがれる 網膜復位術 剥離した網膜を元の位置に戻す
網膜に裂け目ができたとき血管から硝子体に出血する 硝子体手術 出血によって濁った硝子体を取り除く