糖尿病と併発する危険のある目の病気
糖尿病は、発病初期にほとんど自覚症状がないため軽視されがちですが、さまざまな合併症をひきおこす病気です。
糖尿病による目の合併症としては、眼底出血や硝子体出血などの症状を示す「網膜症」があります。また、網膜症の末期的段階に発病する「緑内障」、水晶体が濁る「白内障」、角膜に障害が生じる「角膜症」や眼球が自由に動かなくなる「眼筋麻痺」があります。
糖尿病網膜症の症状
網膜症は、単純、前増殖、増殖の3段階の進行過程に分けられます。初期の段階では、自覚症状が現れないことから、眼科を受診しない患者さんが少なくありません。しかし自覚症状が出てからでは手遅れのことが多いのです。糖尿病と診断されたら診察を必ず早めに受けて下さい。
網膜症の症状の段階
分類 | 眼底所見 | |
注意 | 単純網膜症 | 網膜の小出血、毛細血管瘤、硬性白斑 (蛋白質・脂肪の沈着) |
やや危険 | 前増殖網膜症 | 網膜の最小血管拡張・閉鎖・走行異常、軟性白斑(多発) |
危険 | 増殖網膜症 | 新生血管の発生、硝子体出血、網膜剥離 |
網膜症の治療法
分類 | 治療法 |
単純網膜症 | 内科的な血糖のコントロールが治療の第一です。 それとともに止血剤や血管拡張剤などの内服薬を投与して、経過観察を行います。 |
前増殖網膜症 | 新生血管の発生を防ぐために「レーザー光凝固手術」を行います。 この時期を逃さないことが、治療のポイントとなります。 レーザー光凝固は入院せずに外来でできます。 |
増殖網膜症 | ここまで進行すると光凝固法での治療だけでは難しく、外科的な硝子体手術を必要とすることが多くなります。 硝子体の濁りや網膜剥離は60~70%が治りますが、完全な視力の回復は難しいのが現状です。 |
糖尿病の網膜症は症状がないまま進行します